旅する

海外旅行保険の選び方・比較ガイド

選び方・比較ガイド

外務省は海外旅行中の海外旅行保険への加入を強く推奨しており、「海外旅行保険には必ず加入しておくことをおすすめします」と明記しています。海外旅行中の病気やケガ、盗難などのトラブルに備える海外旅行保険について、公式データに基づいて解説します。

海外旅行保険が必要な理由

事故発生率の実態

ジェイアイ傷害火災保険の2024年度データによると、海外旅行中に何らかの事故に遭う確率は4.7%で、これは21人に1人の割合となっています。これは決して低い確率ではありません。

海外の医療費は想像以上に高額

日本損害保険協会によると、海外では日本に比べ治療費が高額になるのが一般的で、海外で虫垂炎の手術を受けると、国によっては数百万円の費用がかかる場合があります。

医療費の例

  • アメリカ(虫垂炎手術):200-500万円程度
  • イギリス(虫垂炎・2日間入院):74万円程度
  • ヨーロッパ(骨折治療):50-100万円
  • 東南アジア(食中毒入院):10-30万円

日本の健康保険は海外では使えないため、全額自己負担となります。

実際にあった高額医療費事例

2024年度、治療・救援費用の保険金支払最高額は6,415万円となりました。

具体的な事例

  • アメリカで交通事故により右手を骨折、手術後5日間入院:229万円
  • アメリカで急性心筋梗塞により入院、家族の渡航費用含む:総額数千万円
  • バリ島でダイビング事故、プライベートジェット機でシンガポールへ緊急搬送:高額な搬送費用

海外旅行保険の種類

1. 単体の海外旅行保険

保険会社が提供する専用の海外旅行保険です。

メリット

  • 補償内容が充実
  • 24時間日本語サポート、病院や医師の紹介・予約やキャッシュレス治療の手配、医療通訳の手配などのサービスを提供
  • 細かいニーズに対応

デメリット

  • 保険料が高い
  • 事前申込みが必要

2. クレジットカード付帯保険

外務省も「クレジットカードには海外旅行傷害保険特約のついたものもありますが、保険の限度額やサービス・条件の範囲はカードにより異なりますので、内容をよく確認しておくことをおすすめします」と注意喚起しています。

自動付帯と利用付帯

  • 自動付帯:カードを持っているだけで保険適用
  • 利用付帯:旅行代金をそのカードで支払った場合のみ適用

メリット

  • 保険料無料
  • 手続き不要
  • 複数枚の合算で補償額アップ可能

デメリット

  • 補償額が不十分な場合が多い
  • 補償期間が限定的(90日以内など)
  • サポート体制が限定的

3. ネット保険

メリット

  • 保険料が比較的安い
  • 出発当日でも加入可能
  • 必要な補償のみ選択可能

主要な補償内容と推奨金額

治療・救援費用(最重要)

2024年度、海外旅行保険で最も事故件数が多い補償項目は「治療・救援費用」で、全体の57.6%を占めています。

推奨金額

  • アジア:1,000万円以上
  • ヨーロッパ・オセアニア:2,000万円以上
  • アメリカ:外務省も医療費が高額なことからアメリカに行く際は海外旅行保険への入る用推奨しており、最低でも1,000万円、できれば無制限

個人賠償責任

他人にケガを負わせたり、物を壊した場合の補償。

推奨金額:1億円以上

携行品損害

手荷物の盗難・破損を補償する「携行品損害」は事故発生割合24.7%で、2番目に多いトラブルです。

推奨金額:30-50万円

航空機遅延関連

欠航など偶然の事故での出費を補償する「旅行事故緊急費用」は事故発生割合12.9%となっています。

渡航先別の特徴とリスク

地域別事故発生傾向

地域により事故発生割合が大きく異なり、ヨーロッパやアフリカでは「携行品損害」(ヨーロッパ34%、アフリカ40.4%)、北米・アジア・オセアニアでは「治療・救援費用」(オセアニア82.7%、アジア77.7%)が多い状況です。

アジア(韓国・台湾・タイなど)

医療水準:中程度 推奨補償額

  • 治療・救援:1,000万円
  • 個人賠償:1億円
  • 携行品:30万円

ヨーロッパ

医療制度は充実しており、イギリス、スウェーデンは日本と同じ国民皆保険制度を導入していますが、基本的に加入には長期の滞在が必要なので、旅行者が入ることは難しく、海外旅行保険に未加入であれば、医療費は全額負担となります。

推奨補償額

  • 治療・救援:2,000万円
  • 個人賠償:1億円
  • 携行品:50万円

アメリカ・カナダ

医療費が高額なことから、外務省の公式ホームページでもアメリカに行く際は海外旅行保険へ入るよう推奨されています。

推奨補償額

  • 治療・救援:無制限(最低3,000万円)
  • 個人賠償:1億円
  • 携行品:50万円

主要保険会社の公式情報

外務省推奨リンク

外務省海外安全ホームページでは、日本損害保険協会の情報も参照することを推奨しています。

主要保険会社

ジェイアイ傷害火災保険

  • JTBグループとAIGの合弁会社
  • 海外36都市にJiデスクを設置(2024年4月現在)
  • 公式サイト

AIG損保

  • 治療・救援費用無制限プランを提供
  • 疾病応急治療・救援費用も補償
  • 公式サイト

損保ジャパン

  • 「新・海外旅行保険【off!】」を提供
  • インターネット契約で保険料割引
  • 公式サイト

エイチ・エス損保

  • 「たびとも」シリーズを提供
  • 年齢別・エリア別保険料
  • 公式サイト

保険選びの重要ポイント

1. 補償額の適切性

ジェイアイ傷害火災の調査によると、2019年度は治療・救援費用保険金支払額1,000万円以上の高額医療費用事故が7件発生しており、クレジットカードの保険のみでは多額の自己負担が発生する可能性があります。

2. キャッシュレス治療の重要性

日本損害保険協会によると、キャッシュレス治療の手配、医療通訳の手配などのサービスを提供している保険商品もあります。

3. 24時間日本語サポート

海外での緊急時に母国語でサポートを受けられることは非常に重要です。

加入方法と注意点

加入タイミング

出発前加入の重要性

  • 自宅を出る前から補償開始
  • 空港への移動中の事故もカバー

申込み時の注意点

  • 渡航先・期間の正確な入力
  • 既往症の正直な申告
  • 補償内容の十分な確認
  • 保険証券の印刷・保存

海外療養費制度との関係

海外旅行保険に加入していない場合は、各健康保険組合が用意している「海外療養費制度」が利用できる可能性がありますが、日本の医療費基準で支払額が算出され3割は自己負担のため、補償額が支払った医療費よりも少額になります。

まとめ

外務省が海外旅行保険への加入を強く推奨しているように、海外旅行保険は「万が一」に備える重要な準備です。21人に1人が何らかの事故に遭うというデータからも、その必要性は明らかです。

選び方の基本方針

  • アジア:クレジットカード付帯保険も選択肢の一つ
  • ヨーロッパ・オセアニア:上乗せ保険を検討
  • アメリカ:充実した単体保険が必須

最も大切なのは、外務省も推奨するように、渡航先のリスクを理解し、適切な補償額の保険を選ぶことです。安心して海外旅行を楽しむために、事前にしっかりと準備をしましょう。


関連記事

公式参考サイト

この記事は外務省安全情報、日本損害保険協会データ、および各保険会社の公式情報に基づいて作成されています(2025年9月時点)。最新の安全情報・保険料は各公式サイトでご確認ください。

-旅する