
伊香保温泉で最も歴史ある老舗旅館に泊まりたいと思い、創業440年の「福一」を選びました。実際に宿泊してみて、石段街最上段という絶好の立地と、黄金の湯・白銀の湯の2種類の名湯を楽しめる贅沢さ、そして440年の歴史に培われた格式高いおもてなしに深く感動しました。日本の伝統的な温泉文化を体験したい方や、特別な記念日を格式ある老舗旅館で過ごしたい方には特におすすめです。
伊香保温泉 福一の基本情報
所在地: 群馬県渋川市伊香保町伊香保香湯5-4
最寄り駅: JR上越線「渋川駅」からバスで約30分
アクセス: 東京から車で約2時間半、関越自動車道渋川伊香保ICから約20分
福一は天正4年(1576年)創業という、伊香保温泉で最も古い歴史を持つ老舗旅館です。創業440年余りの歴史を誇り、伊香保の石段街最上段に位置しています。全83室を有する大型旅館でありながら、政府登録国際観光旅館として一人ひとりのお客様への配慮を大切にした丁寧なおもてなしが自慢です。伊香保名物の黄金の湯と白銀の湯の両方を楽しむことができる、伊香保温泉50以上の宿のうちわずか5つほどしかない貴重な宿の一つです。
実際の宿泊体験レポート
チェックイン〜客室の印象
福一に到着すると、まず石段街最上段という立地の素晴らしさに圧倒されました。440年の歴史を物語る格調高い建物で、玄関には立派な看板が掲げられています。ロビーに入ると、長い歴史を感じさせる調度品や美術品が展示されており、まさに日本の伝統美を感じることができます。
仲居さんが部屋まで丁寧に案内してくださり、お茶出しサービスから始まりました。客室は万葉館と千樹館の2つの館があり、今回は万葉館の和室を利用しました。床の間には季節の掛け軸と生け花が飾られ、窓からは伊香保の美しい山並みを一望でき、四季折々の景色を楽しむことができました。
部屋の設備は現代的な快適さも兼ね備えており、Wi-Fi、冷蔵庫、セーフティボックスなどが完備されています。440年の伝統を感じさせる和室の雰囲気を損なわないよう、現代設備が巧妙に配置されているのが印象的でした。
黄金の湯と白銀の湯を満喫する贅沢な温泉体験
福一では、伊香保温泉の代名詞である黄金の湯と白銀の湯の両方を楽しむことができます。大浴場「福の湯」「一の湯」では、古の湯「黄金の湯」と近年湧出した「白銀の湯」のどちらも湯ざわりが異なる2つの名湯を堪能できます。
黄金の湯は鉄分を多く含んだ茶褐色のお湯で、湯温は41〜42度程度に調整されており、じっくりと体の芯まで温まることができます。白銀の湯は無色透明で肌触りが柔らかく、黄金の湯とは全く異なる泉質を楽しむことができます。
露天風呂からは榛名山の雄大な景色を眺めることができ、特に夕方の時間帯は山々が夕日に照らされて絶景でした。源泉かけ流しの贅沢な温泉で、伊香保温泉でも希少な2つの源泉を一度に楽しめる特別感は格別でした。貸切風呂も利用でき、プライベートな温泉時間も満喫できます。
会席料理で味わう群馬の四季と伝統
夕食は個室の食事処でいただく本格的な会席料理でした。器は有田焼や備前焼など上質なものが使用され、料理の美しさを一層引き立てています。季節の華やかな前菜から始まり、鮮度高いお造り、煮物、焼き物と順番に運ばれてくる様子は、まさに日本料理の真髄を感じさせました。
特に印象的だったのは、群馬県産の上州牛を使った逸品で、柔らかく上品な味わいでした。地元の旬の野菜も多く使用されており、季節感を大切にした料理構成になっています。群馬の郷土料理「おっきりこみうどん」や湯波料理など、地元ならではの食材も楽しむことができました。
日本酒は群馬の地酒「谷川岳」や「水芭蕉」などが用意されており、料理との相性も抜群でした。仲居さんが料理の説明を丁寧にしてくださり、食材の産地や調理法についても詳しく教えてくれました。
朝食は8階の展望ダイニング「麗峰」で和洋中バラエティ豊かなビュッフェスタイルです。上州の郷土料理「もつ煮」や焼きたてのパン、ライブキッチンでのお造りなど、種類豊富なメニューが並びます。遠くまで見晴らす展望ダイニングで、さわやかな朝のひと時を楽しむことができました。
創業440年の歴史が育んだ格式高いおもてなし
福一で最も印象深かったのは、440年の歴史に培われた格式高いおもてなしです。仲居さんの立ち居振る舞いは美しく、言葉遣いも丁寧で、まさにプロフェッショナルなサービスでした。部屋の布団敷きや片付けも手際よく、伝統的な日本のおもてなしの心を感じることができました。
館内には歴史資料や福一の歴史について学べる展示もあり、440年という長い歴史の重みを感じることができます。売店では老舗旅館オリジナルの商品や群馬の特産品が販売されており、記念品選びも楽しめました。
マッサージサービスも充実しており、温泉で温まった体をさらにほぐすことができます。チェックアウト時には、女将さんが玄関まで見送ってくださり、最後まで心温まるおもてなしを受けました。
周辺観光とアクセス情報
福一から伊香保神社までは石段街を登って徒歩約0分、有名な365段の石段街散策も気軽に楽しめる最高の立地です。石段街は伊香保のシンボルで、両側に土産店や射的場が並び、温泉街の情緒を満喫できます。石段を登り切った先にある伊香保神社は縁結びのパワースポットとしても有名です。
車でお越しの場合は、榛名湖や榛名神社への観光も楽しめます。榛名湖まで車で約20分、榛名神社まで約15分で、自然豊かな群馬の魅力を堪能できます。特に秋の紅葉シーズンは絶景で、多くの観光客が訪れます。
福一には建物地下に約50台分の駐車場があり、宿泊者は無料で利用できます。電車利用の場合は、JR渋川駅から関越交通バスで約30分、終点「伊香保温泉」または「伊香保榛名口」下車後、バス停まで送迎サービスがあります(要事前連絡)。
新宿駅からは高速バス(JRバス上州ゆめぐり号、関越交通伊香保温泉号)も運行されており、約2時間40分程度で伊香保温泉に到着できます。
老舗旅館宿泊時の注意点と持参すべきもの
福一は創業440年の格式ある老舗旅館のため、ある程度きちんとした服装での宿泊をおすすめします。仲居さんへの心づけは必須ではありませんが、特別なサービスを受けた場合は感謝の気持ちを表すのも良いでしょう。
伊香保の黄金の湯は鉄分が多く含まれているため、白い衣類に付着すると茶色いシミになる可能性があります。温泉用のタオルは宿で用意されていますが、汚れても良いタオルを持参すると安心です。
カーナビ設定時は「福一」で検索すると石段街側玄関に案内される場合があるため、「福一駐車場」で検索するか、マップコード「94 875 154*84」を使用することをおすすめします。
老舗旅館では伝統的な日本のマナーが重視されるため、食事の際の箸の使い方や温泉でのマナーなど、基本的な作法を事前に確認しておくと、より快適に過ごすことができます。
伊香保温泉 福一は、440年の歴史が育んだ格式高いおもてなしと、伊香保の名湯を心ゆくまで楽しめる素晴らしい老舗旅館でした。日本の伝統的な温泉文化を体験したい方や、特別な記念日を格式ある宿で過ごしたい方には、心からおすすめできる名旅館です。