
なぜ学生のうちに一人旅に出るべきなのか
大学2年の夏休み、初めて一人旅に出たときのことを今でも鮮明に覚えています。友達との旅行も楽しいけれど、一人で知らない場所に行くのは全く別物でした。
朝6時に起きて青春18きっぷで出発するもよし、夜行バスで寝坊して乗り過ごすもよし(これは実際に私がやらかしました...)。すべて自分で決められる自由さが、学生時代の一人旅の最大の魅力です。
社会人になった今の友人たちは口を揃えて言います。「学生時代にもっと旅しておけばよかった」と。確かに今は給料があるけれど、1ヶ月丸々休むなんて不可能です。学生時代の時間の価値は、後になってから気づくものなんですよね。
学生だから得られる3つの特権
1. 平日の静かな観光地を独り占めできる
私が京都の金閣寺に行ったのは、11月の水曜日でした。友達は授業があるからと行けなかったけれど、平日の朝9時の金閣寺は驚くほど静かで、池に映る金色の反射をじっくり眺めることができました。週末だったら絶対に無理だったと思います。
2. 学割が使えるのは今だけ
私が実際に使って得した学割TOP3:
- 新幹線の学割(2割引)で往復6,000円節約
- 美術館・博物館の学割で入場料が半額
- ゲストハウスの学生特典で1泊500円引き
特に美術館は、社会人になると一般料金1,800円とかザラにあります。学生のうちに学割900円でたくさん回っておくべきでした。
3. 失敗しても笑い話になる
大学3年のとき、高知で道に迷ってスマホのバッテリーも切れ、地元のおばあちゃんに道を聞いたら、なぜか家に招かれてお茶をごちそうになった、なんてこともありました。今思えば、学生だったからこそ警戒されずに優しくしてもらえたのかもしれません。
私が実際に行った国内5選+リアルな失敗談
1. 高知・四万十川流域|予算:3万2千円(2泊3日)
なぜここを選んだか:
正直に言うと、「日本最後の清流」という言葉に惹かれただけでした。でも実際に行ってみたら、想像以上に素晴らしかった。
私の体験:
四万十川でカヌー体験(3,000円)を予約したんですが、当日が土砂降り。キャンセルしようと思ったら、インストラクターのお兄さんに「雨の川もいいよ」と言われて決行。結果、雨音と川の流れる音だけの静寂の中でのカヌーは、晴れの日より幻想的で忘れられない体験になりました。
やらかした失敗:
民宿で出された「カツオのたたき」が生臭くて食べられず(後で知ったんですが、新鮮すぎると逆に生臭いらしい)、残してしまって申し訳なかった...。でも、おばあちゃんが優しく「慣れんよね」と言ってくれて救われました。
実際にかかった費用:
- 交通費:青春18きっぷ使用(往復約8,000円)
- 宿泊:民宿2泊(朝夕食付き1泊6,500円×2)
- カヌー体験:3,000円
- その他食費・雑費:6,000円
- 合計:32,000円
2. 青森・津軽半島|予算:4万3千円(3泊4日)
私が行ったとき:
9月の平日、りんご狩りができると聞いて飛びつきました。ところが、農家のおじさんに「まだ早いよ、10月だよ」と言われ、代わりにりんごの摘果作業(間引き)を手伝わせてもらうことに。
予想外の展開:
作業を手伝ったお礼にと、おじさんが地元の人しか知らない温泉(入浴料300円!)に連れて行ってくれました。観光ガイドには絶対載ってない、地元民専用の秘湯。露天風呂から見える夕日が最高でした。
大失敗:
夜行バスで青森まで行く予定が、乗り場を間違えて1本逃す。次のバスまで3時間待ちで、始発の新幹線に変更。予算を大幅にオーバーしました(追加1万5千円...)。皆さん、バス乗り場は必ず事前確認を!
実際にかかった費用:
- 交通費:夜行バス+新幹線(失敗で25,000円に)
- 宿泊:ゲストハウス3泊(1泊2,500円×3)
- 食費:海鮮市場の朝食など(約8,000円)
- その他:温泉、お土産など(3,000円)
- 合計:43,500円
3. 和歌山・熊野古道|予算:3万5千円(2泊3日)
きっかけ:
世界遺産だし、歴史の授業で習った「熊野詣」を実際に歩いてみたかった。ただそれだけ。
私の体験:
中辺路ルートを1日かけて歩いたんですが、途中で道を間違えて1時間ロス。スマホの地図を過信しすぎました。結局、地元のおじいさんに助けてもらって、古道の正しい入り口まで案内してもらいました。
おじいさん曰く「昔は看板なんてなかった。木に刻まれた印を見て歩いたんだよ」とのこと。その言葉で、スマホを見ずに周りの景色をもっと観察するようになりました。
意外な発見:
民宿のおばあちゃんが作ってくれた梅干しが絶品すぎて、帰りに1kg買って帰りました(荷物が重くなって後悔したけど、味は本当に最高でした)。
実際にかかった費用:
- 交通費:大阪から特急+バス(往復12,000円)
- 宿泊:民宿2泊(1泊7,000円×2)
- 食費:3,000円
- お土産の梅干し:3,500円
- 合計:35,500円
4. 長崎・五島列島|予算:4万8千円(3泊4日)
行こうと思ったわけ:
写真で見た教会が美しすぎて、「ここ、本当に日本?」と思ったのがきっかけ。
私が実際に体験したこと:
福江島の民宿に泊まったんですが、夕食時に他の宿泊客(70代のご夫婦)と意気投合。翌日、そのご夫婦が車で島を案内してくれることに。計画になかった灯台や、地元の人しか知らない絶景ポイントに連れて行ってもらいました。
大誤算:
フェリーの時間を勘違いして、最終便に乗り遅れそうになり、タクシーで港まで爆走(3,500円...)。ギリギリで間に合ったけど、心臓バクバクでした。時刻表の確認は何度してもしすぎることはないです。
実際にかかった費用:
- 交通費:長崎空港まで LCC+フェリー(往復22,000円)
- 宿泊:民宿3泊(1泊5,500円×3)
- 食費:島の食堂など(7,000円)
- 緊急タクシー代:3,500円
- その他:教会めぐりなど(3,000円)
- 合計:48,000円
5. 岩手・遠野|予算:2万8千円(2泊3日)
選んだ理由:
民俗学のゼミで『遠野物語』を読んで、河童や座敷童子の伝説が残る場所に行きたくなった。
印象的だった体験:
「カッパ淵」という河童伝説の場所で、地元のおじいさんが昔話を聞かせてくれました。「子供の頃は本当に河童がいると思ってた」と笑いながら話す姿が印象的でした。
古民家に泊まったんですが、夜中にギシギシという音がして怖くて眠れず...。翌朝、宿の人に「座敷童子かも」と言われて、怖いけど嬉しいような複雑な気持ちに。
やってしまった失敗:
郷土料理の「ひっつみ」作り体験で、粉をこねすぎて固くなりすぎ。先生に「力強いね〜」と苦笑いされました。料理は得意じゃないことを実感...。
実際にかかった費用:
- 交通費:青春18きっぷ使用(約6,000円)
- 宿泊:古民家ゲストハウス2泊(1泊4,000円×2)
- 食費+体験料:8,000円
- その他:お土産、バス代など(6,000円)
- 合計:28,000円
海外3選|安全だけど刺激的な場所
1. ベトナム・ホーチミン+ハノイ|予算:4万9千円(6泊7日)
初めての海外一人旅で選んだ理由:
物価が安い、治安が比較的良い、ベトナム料理が大好き。この3点です。
私の体験:
ホーチミンの宿泊先のゲストハウスで、同じ大学生の韓国人と仲良くなって、2日間一緒に観光しました。彼女に韓国語を教えてもらい、私は日本語を教える。お互いカタコトの英語で会話するのが楽しかった。
大失敗談:
フォーを食べようと入った屋台で、メニューがベトナム語のみ。適当に指差し注文したら、めちゃくちゃ辛いスープが出てきて、汗だくになりながら完食。後で知ったんですが、「激辛」という意味のメニューだったらしい...。
バイクタクシーで値段交渉せずに乗って、降りるときに法外な金額を請求されたことも。結局、周りの人が助けてくれて適正価格で済みましたが、事前の価格確認は必須です。
実際にかかった費用:
- 航空券:LCC往復(25,000円)
- 宿泊:ドミトリー6泊(1泊800円×6)
- 食費:1日1,000円×7日
- 観光・交通費:10,000円
- 合計:49,800円
2. 台湾・台中+台南|予算:3万8千円(4泊5日)
台北じゃなく台中・台南を選んだわけ:
友達が「台北は観光客だらけ。台中や台南の方がローカルで面白い」と言っていたから。
実際に行ってみたら:
台南の夜市で、おばちゃんに日本語で話しかけられました。「日本統治時代に学校で習った」と流暢な日本語。歴史の複雑さを実感した瞬間でした。
台中の寺で偶然、結婚式に遭遇。見知らぬ私にも「一緒に食べて」とお菓子をくれて、台湾の人の優しさに感動。
やらかしたこと:
台鉄(電車)の切符を買うとき、行き先を間違えて購入。気づいたのは電車に乗ってから。車掌さんに事情を説明したら、差額を払って変更してくれました。中国語の地名は本当に難しい...。
実際にかかった費用:
- 航空券:LCC往復(18,000円)
- 宿泊:ゲストハウス4泊(1泊2,000円×4)
- 食費:夜市中心で1日1,500円×5日
- 交通費・観光費:5,000円
- 合計:38,500円
3. 韓国・釜山|予算:3万5千円(3泊4日)
釜山を選んだ理由:
ソウルは高そうだし、海が見たかった。それだけ。
思い出に残る体験:
海雲台のビーチで、地元の大学生グループと仲良くなって、一緒にチキンとビールを食べました。彼らに韓国語のスラングを教えてもらって、今でもSNSで繋がっています。
ジャガルチ市場で、魚の調理方法を間違えて注文。焼き魚を頼んだつもりが、生の刺身が出てきて驚きましたが、食べてみたら新鮮で美味しかった。間違いが良い方向に転がることもあります。
大失敗:
最終日、空港への地下鉄の乗り換えを間違えて、フライトに間に合わないかもと焦りました。結局、次の駅で降りてタクシーで空港へ直行(追加6,000円)。時間には本当に余裕を持つべきです。
実際にかかった費用:
- 航空券:LCC往復(15,000円)
- 宿泊:ゲストハウス3泊(1泊2,500円×3)
- 食費:1日2,000円×4日
- 緊急タクシー代:6,000円
- その他:観光、お土産など(4,000円)
- 合計:35,500円
5万円以下で旅するための7つのリアルな節約術
1. 宿泊費は「体験」と交換する
私の場合、ゲストハウスのドミトリーを多用しました。個室より5,000円安いし、何より他の旅行者と話せるのが楽しい。高知の民宿で出会った大学生とは、今でもLINEでやり取りしています。
私の失敗から学んだこと:
安さだけで選んだゲストハウスが、駅から徒歩40分の場所だったことがあります。Google Mapで「徒歩40分」を見たときの絶望感...。アクセスも必ずチェックしましょう。
2. 交通費の最強の味方「青春18きっぷ」
5日間で12,050円。1日あたり2,410円で JR の普通列車・快速列車が乗り放題。私は大学時代、これで日本中を旅しました。
注意点:
特急や新幹線には乗れません。私、初めて使ったとき知らずに特急に乗って、車掌さんに止められて恥ずかしかった...。
3. 食費は「朝多め、昼軽め、夜は地元の安い店」
私のパターン:
- 朝食: ゲストハウスの無料朝食 or コンビニおにぎり(200円)
- 昼食: 立ち食いそば or パン(500円以内)
- 夕食: 地元の定食屋(800円〜1,200円)
1日の食費:1,500円〜2,000円
四万十川での失敗:観光地のレストランで定食を頼んだら2,500円。地元の人に聞いたら「あそこは高いよ、駅前の食堂なら半額だよ」と...。事前リサーチ大事です。
4. 無料体験を徹底的に探す
私が実際に利用した無料スポット:
- 京都の寺社巡り(拝観無料の寺も多い)
- 熊野古道のハイキング
- 台南の古跡めぐり
- 海雲台のビーチ
コツ: 地元の観光案内所で「無料で楽しめる場所ありますか?」と聞くと、結構教えてくれます。
5. 学生証は常に携帯
私が学割で得した金額:
- 美術館入場料:500円→250円(×5回=1,250円節約)
- 新幹線:8,000円→6,400円(1,600円節約)
- ゲストハウス連泊割引+学割:1泊500円引き(×10泊=5,000円節約)
合計で約8,000円の節約
6. 夜行バスは「寝れない」前提で使う
正直に言います。夜行バス、私はほとんど寝れませんでした。でも、宿泊費が浮く+移動時間を有効活用できる、というメリットは大きい。
私の対策:
- 耳栓+アイマスク持参
- 到着後、ネットカフェで1時間仮眠(400円)
- 初日のスケジュールは軽めに設定
7. 現地の人に聞くのが最強の情報源
ガイドブックには載っていない、地元の人だけが知っている場所。これが一人旅の醍醐味です。
私の体験:
- 青森のおじさんが教えてくれた秘湯
- 台南のおばちゃんが教えてくれた激安夜市
- 釜山の大学生が連れて行ってくれた地元の海鮮食堂
ポイント: 恥ずかしがらずに、笑顔で話しかけること。「この辺で美味しい店ありますか?」これだけで旅が10倍楽しくなります。
絶対に気をつけるべき5つのこと(失敗談から学んだ教訓)
1. 現金は分散して持つ
ベトナムで財布を落としかけたとき、本当に焦りました。幸い見つかったけど、それ以降は:
- 財布:2万円
- ポケット:5,000円
- バックパックの奥:1万円(緊急用)
こうやって分散するようにしています。
2. 夜間の一人歩きは避ける(特に海外)
台北で夜11時頃、宿への道を間違えて、暗い路地に入ってしまったことがあります。幸い何も起きませんでしたが、怖かった。それ以降、夜9時以降は極力外出しないようにしています。
3. スマホのバッテリー切れは命取り
高知で道に迷ったとき、スマホのバッテリーが5%。モバイルバッテリーを持ってなくて本気で焦りました。今は必ず持参しています。
4. 保険は絶対に入る
友達が台湾で食中毒になって病院に行ったとき、保険なしで3万円かかったそうです。私は毎回、クレジットカード付帯の海外旅行保険を確認してから出発しています。
5. 家族には行程を共有する
「心配性の親」と思っていましたが、今思えば当然ですよね。毎日夜、LINEで「今日はここにいます」と一言送るだけで、親も安心してくれます。
学生一人旅で人生が変わった話
大学2年で初めて一人旅をしたとき、私は就活や将来に不安を抱えていました。でも、旅先で出会った人たち、予想外の出来事、失敗から学んだこと。これらすべてが、今の私を作っています。
四万十川で出会った民宿のおばあちゃんの「人生は思い通りにならんけど、それが面白いんよ」という言葉。遠野で聞いた河童伝説。ベトナムで助けてくれた現地の人たち。
5万円以下の旅で得られる経験は、お金では買えません。失敗も含めて、すべてが宝物です。
今、この記事を読んでいるあなた。迷っているなら、とりあえず行ってみてください。最悪、失敗しても笑い話になります。私みたいに。
学生時代にしかできない一人旅、絶対に後悔しません。
この記事は、私が大学時代に実際に体験した一人旅の記録をもとに書いています。予算や価格は2025年時点の情報です。最新情報は各施設にご確認ください。