
静岡県は日本茶生産量日本一を誇る「茶の都」。全国の茶園面積の約40%を占め、約400年前から続く茶栽培の歴史と伝統技術が息づく地です。世界農業遺産に認定された「茶草場農法」をはじめ、牧之原台地や川根など20を超える茶産地で育まれる上質な静岡茶は、その香り高い味わいで全国の茶愛好家を魅了し続けています。新緑輝く茶畑での茶摘み体験から、茶道の奥深い世界、極上の茶グルメまで、茶の都ならではの特別な体験に出かけませんか?
静岡茶の基礎知識 - なぜ静岡は茶の都なのか
静岡県の茶栽培の歴史は古く、鎌倉時代に聖一国師が宋からお茶の種を持ち帰り、現在の静岡市葵区足久保に植えたのが始まりとされています。江戸時代には徳川家康も静岡茶を愛飲し、特に安倍川流域で栽培される本山茶(現在の安倍茶)をこよなく愛したといわれています。
静岡茶の特徴
- 生産量:全国シェア約45%(日本一)
- 栽培面積:約16,800ヘクタール(全国の約40%)
- 産地数:20を超える茶産地が県内各地に点在
- 品種:やぶきた種を中心に、ただにしき、香駿など多品種
- 製法:深蒸し茶、普通蒸し茶、手もみ茶など多様な製法
主要産地の特色
- 牧之原台地:日本最大級の茶園、まろやかで濃厚な味わい
- 川根地区:山間部の朝霧、上品で香り高い品質
- 本山地区:安倍川流域、歴史ある伝統産地
- 掛川地区:深蒸し茶発祥の地、濃緑で渋みが少ない
【必見】茶摘み・茶道体験スポット
1. ふじのくに茶の都ミュージアム(島田市)
茶の総合博物館でプレミアム茶体験
- 住所:静岡県島田市金谷富士見町3053-2
- 営業時間:9:00-17:00(入館は16:30まで)
- 休館日:火曜日(祝日の場合は翌平日)
- 入館料:大人300円、大学生・高校生200円、中学生以下無料
- 電話:0547-46-5588
- URL:https://tea-museum.jp/
体験メニュー:
- 茶摘み体験(4月19日〜5月6日):新茶シーズンの茶畑で茶摘み体験
- 抹茶挽き体験(通年・500円):石臼を使った本格的な抹茶作り
- 茶道体験(通年・800円):茶室での本格茶道体験
- ブレンド体験(通年・800円):自分好みのオリジナル茶作り
- 牧之原ティーテラス体験(要予約・1,500円):茶畑を眺めながらの野点体験
見どころ:世界のお茶文化展示、茶の歴史、茶製造工程の見学、日本庭園「茶室」
2. グリンピア牧之原(牧之原市)
日本最大級の茶園でダイナミック茶体験
- 住所:静岡県牧之原市西萩間1151
- 営業時間:8:30-17:00
- 休園日:年末年始のみ
- 入園料:無料
- 電話:0548-27-2995
- URL:http://www.grinpia.com/
体験メニュー:
- 茶摘み体験(4月中旬〜10月上旬の3期・要予約):
- 第1期:4月12日〜5月中旬(新茶)
- 第2期:6月中旬〜7月上旬(二番茶)
- 第3期:9月中旬〜10月上旬(秋冬番茶)
- 工場見学(無料):茶の製造工程を間近で見学
- 茶摘み衣装レンタル(体験料に含む):本格的な茶娘衣装で記念撮影
特徴:360度見渡す限りの大茶園、富士山を背景にした絶景茶畑、茶摘み体験後の工場見学
3. 蔵屋鳴沢(伊豆の国市)
W世界遺産を望む絶景茶園
- 住所:静岡県伊豆の国市中853
- 茶摘み体験期間:2025年4月12日〜6月30日(要予約)
- 体験料金:2,000円(茶摘み衣装・煎茶・手ぬぐい・生葉土産込み)
- 電話:055-949-1208
- 特徴:富士山と韮山反射炉のW世界遺産を同時に眺望
体験内容:
- チャレンジ茶摘み体験:最大200着の茶摘み衣装完備
- 茶娘写真撮影:絶景バックでSNS映え間違いなし
- 煎茶ソフトクリーム:体験後のご褒美スイーツ
4. JA遠州中央 香りの丘 茶ピア(袋井市)
茶と椎茸の複合体験施設
- 住所:静岡県袋井市岡崎7157-1
- 茶摘み体験期間:4月26日〜5月5日(4月29日休み)
- 体験料金:要問い合わせ
- 電話:0538-44-1900
- 特徴:茶摘み体験+原木生しいたけ収穫体験(11月〜3月)
【世界お茶まつり2025】期間限定の特別体験
春の祭典:4月19日〜5月21日
静岡県全域+首都圏・関西圏で開催
2025年春は、3年に一度開催される「世界お茶まつり2025」の年。4月19日から5月21日まで、静岡県全域で新茶フェアが開催されます。
主要プログラム:
- 新茶フェア:県内約200の施設で新茶・茶スイーツ・茶料理を堪能
- 茶畑サイクリング:中遠・志太榛原エリアでの新茶茶畑サイクリング
- 茶畑ウォーキング:茶畑を散策する特別プログラム
- 東京発バスツアー:首都圏からの茶体験バスツアー
- スマホdeスタンプラリー:静岡県公式観光アプリ「TIPS」活用
春の祭典開幕式会場:ふじのくに茶の都ミュージアム(島田市)
秋の祭典:10月23日〜26日
グランシップ(静岡市)メイン会場
- ワールドO-CHAマーケット:世界各地のお茶試飲・購入
- テイスティングフェスティバル:来場者投票による人気茶選出
- ビジネスフォーラム:お茶の最先端研究内容
- プロジェクト展示:茶業界の新たな取り組み紹介
【グルメ】静岡茶を味わう名店・カフェガイド
1. 茶屋一軒「雅心庵」(静岡市)
本格茶道と絶品茶懐石
- 住所:静岡県静岡市葵区足久保口組1138-1
- 営業時間:10:00-16:00(要予約)
- 定休日:水曜日
- 電話:054-296-0022
- 料金:茶懐石コース4,500円〜、茶道体験1,500円
おすすめメニュー:
- 季節の茶懐石(4,500円):茶を使った創作料理の会席
- 抹茶と上生菓子(1,200円):茶室での本格茶道体験
- 茶そば御膳(2,800円):地元産茶そば使用
2. お茶の郷カフェ「天葉」(島田市)
茶畑に囲まれた絶景カフェ
- 住所:静岡県島田市金谷富士見町3053-2(茶の都ミュージアム内)
- 営業時間:9:30-16:30
- 定休日:火曜日
- 電話:0547-46-5588
人気メニュー:
- 抹茶ラテ(680円):石臼挽き抹茶使用
- 茶そば(1,200円):牧之原産茶葉練り込み
- 抹茶ティラミス(850円):濃厚抹茶の大人スイーツ
- ほうじ茶ジェラート(450円):香ばしい茶の風味
3. 茶房「翠香」(掛川市)
深蒸し茶の本場カフェ
- 住所:静岡県掛川市板沢40-1
- 営業時間:9:00-17:00
- 定休日:月曜日
- 電話:0537-26-2977
名物:
- 深蒸し茶飲み比べセット(1,500円):3種の深蒸し茶テイスティング
- 茶の葉天ぷら(800円):新芽の天ぷら、季節限定
- 茶団子(600円):自家製餡と抹茶の和スイーツ
4. グリーンティーラウンジ「茶蔵」(牧之原市)
茶農家直営カフェ
- 住所:静岡県牧之原市細江4036-1
- 営業時間:10:00-16:00
- 定休日:木曜日
- 電話:0548-58-0264
特徴:
- 農家直送茶葉:自家農園で栽培から製造まで一貫管理
- 茶葉量り売り:好みに合わせてブレンド調整
- 茶畑見学:カフェ隣接の茶畑散策可能
【体験】茶道・手もみ茶作り体験施設
1. 静岡市茶道体験館「清香亭」(静岡市)
- 住所:静岡県静岡市葵区駿府城公園1-1(駿府城公園内)
- 営業時間:9:00-16:30
- 体験料金:茶道体験1,000円(抹茶・和菓子付き)
- 電話:054-251-0283
- 特徴:駿府城公園内の本格茶室、初心者向け茶道体験
2. 川根茶園「和み処」(川根本町)
- 住所:静岡県榛原郡川根本町千頭1216-18
- 手もみ茶体験:毎月第2・4日曜日(要予約・2,500円)
- 電話:0547-59-2940
- 体験内容:伝統の手もみ茶製法を職人から学ぶ2時間コース
【ショッピング】高品質茶葉・茶器購入スポット
1. 茶町KINZABURO(静岡市)
創業250年の老舗茶商
- 住所:静岡県静岡市葵区両替町2-4-15
- 営業時間:9:00-18:00
- 電話:054-252-2476
- おすすめ商品:
- 本山茶「極」(100g・5,000円):最高級本山茶
- 手もみ茶(50g・8,000円):職人手もみの希少茶
- オリジナル茶器セット(15,000円〜):茶商厳選の茶道具
2. 道の駅「掛川」茶の里(掛川市)
- 住所:静岡県掛川市八坂882-1
- 営業時間:9:00-18:00
- 電話:0537-24-2725
- 特徴:深蒸し茶専門、茶農家直送商品豊富
3. 牧之原茶商組合直販所(牧之原市)
- 住所:静岡県牧之原市静波447-1
- 営業時間:8:30-17:00
- 特徴:牧之原産茶葉のみ取り扱い、工場直売価格
【宿泊】茶の里周辺おすすめ宿
1. 島田蓬莱橋「茶の宿」(島田市)
- 住所:静岡県島田市金谷富士見町1701-1
- 料金:12,000円〜/泊(茶懐石付き)
- 特徴:茶をテーマにした宿、全客室から茶畑眺望
- 電話:0547-46-3100
2. 川根温泉「笹間渡温泉」(島田市)
- 住所:静岡県島田市川根町笹間渡220
- 料金:15,000円〜/泊(2食付き)
- 特徴:川根茶と温泉のコラボ、SL見学可能
- 電話:0547-53-4111
3. 掛川グランドホテル(掛川市)
- 住所:静岡県掛川市亀の甲2-4-21
- 料金:8,000円〜/泊
- 特徴:深蒸し茶体験プラン有り、市内茶園アクセス良好
- 電話:0537-22-1121
【周辺観光】茶体験と合わせて楽しむスポット
1. 大井川鐵道SL急行
茶畑を駆け抜ける蒸気機関車
- 運行区間:新金谷駅〜千頭駅(37.2km)
- 運行日:ほぼ毎日(要確認)
- 料金:大人片道3,050円(SL急行券込み)
- 見どころ:茶畑風景、南アルプス、川根温泉
2. 蓬莱橋(島田市)
世界一長い木造歩道橋
- 住所:静岡県島田市南2丁目22-14
- 通行料:大人100円
- 全長:897.4m(ギネス認定)
- 特徴:茶畑パノラマビュー、「長生きの橋」として親しまれる
3. 牧之原公園(牧之原市)
- 住所:静岡県牧之原市東萩間2082-13
- 入園料:無料
- 見どころ:富士山眺望、茶畑展望台、桜の名所
【旅行プラン】茶体験旅 1泊2日モデルコース
1日目:茶摘み体験・茶道・グルメメイン
9:00 東京から東海道新幹線で静岡駅到着
9:30 レンタカーで島田市へ移動
10:30 ふじのくに茶の都ミュージアムで茶摘み体験・展示見学
12:30 館内カフェ「天葉」で茶そばランチ
14:00 茶道体験(抹茶挽き+茶道)
15:30 牧之原市のグリンピア牧之原で工場見学
17:00 島田市内の宿にチェックイン
19:00 茶懐石ディナー
2日目:SL・絶景・ショッピング
8:00 宿で朝食・チェックアウト
9:00 大井川鐵道新金谷駅でSL乗車準備
10:38 SL急行で茶畑風景を楽しみながら千頭駅へ
11:52 千頭駅到着、川根茶園見学
13:00 川根町で地元茶そば昼食
14:30 復路SLで新金谷駅へ
16:00 茶町KINZABUROでお土産購入
17:30 静岡駅から東京へ帰路
【茶活用術】家庭でも楽しむ静岡茶の美味しい淹れ方
煎茶の基本的な淹れ方
- 茶葉の量:1人分約2g(ティースプーン軽く1杯)
- お湯の温度:70-80℃(沸騰後少し冷ます)
- 浸出時間:1分程度
- 注ぎ方:少しずつ回し注ぎ、最後の一滴まで
深蒸し茶の特別な淹れ方
- 茶葉の量:やや多め(1人分約3g)
- お湯の温度:70℃前後
- 浸出時間:30-45秒(短めに)
- ポイント:茶葉が細かいため短時間抽出
美味しく飲むためのコツ
- 軟水使用:静岡の軟水に近いミネラルウォーター推奨
- 茶器の予熱:急須・湯呑みを事前に温める
- 保存方法:密閉容器で冷蔵保存、開封後1ヶ月以内に消費
- 二煎目・三煎目:温度を上げて短時間で抽出
【茶豆知識】もっと深く知りたい静岡茶の世界
茶草場農法とは
静岡県中部から西部では、畝間にススキなどの刈草を敷く伝統的な「茶草場農法」が続けられており、世界農業遺産にも認定されています。この農法により、茶の品質向上と生物多様性の保全を両立させています。
手もみ茶の技術
静岡県は全国手もみ茶品評会で常に上位を占める技術大県。職人による手もみ技術は、以下の工程で行われます:
- 蒸し:生葉を蒸気で蒸す
- 葉振い:手で葉をほぐし水分を飛ばす
- 回転揉み:円を描くように揉む
- 玉解き:茶葉をほぐす
- 中上げ:形を整える
- 精揉:最終的な形状作り
静岡茶の種類と特徴
- やぶきた:静岡茶の代表品種、バランスの良い味わい
- さえみどり:鮮緑色で香り高い
- おくひかり:渋みが少なく甘み豊か
- 香駿:花のような香りが特徴
- ただにしき:高級茶として珍重
【旅行Tips】茶体験旅を成功させるコツ
ベストシーズン
- 春(4-5月):新茶シーズン、茶摘み体験最盛期
- 秋(9-10月):秋冬番茶、気候が良く観光に最適
- 冬(12-2月):手もみ茶体験シーズン、観光客少なめ
茶摘み体験予約のポイント
- 早期予約必須:特にGW期間は1ヶ月前までに予約
- 服装注意:長袖・長ズボン・帽子・タオル持参
- 時間帯:午前中がおすすめ(茶葉が新鮮)
お土産選びのコツ
- 茶葉の選び方:製造日・産地・品種を確認
- 保存期間:開封前1年、開封後1ヶ月が目安
- 予算目安:高級茶100g・3,000-5,000円、普通茶1,000-2,000円
- 茶器:静岡県産の志戸呂焼・大井川焼がおすすめ
交通アクセス情報
- 電車:東海道新幹線・JR東海道線で県内各地アクセス良好
- 車:新東名・東名高速道路利用
- バス:静岡県内路線バス充実、観光地間移動便利
- 茶畑アクセス:山間部は車推奨、レンタカー利用
まとめ:茶の都で味わう日本文化の真髄
静岡県での茶体験旅行は、単なる観光を超えた日本文化の深い体験となります。400年以上の歴史を持つ茶栽培技術、世界農業遺産に認定された茶草場農法、そして職人たちが守り続ける手もみ茶の技術は、まさに日本の宝といえるでしょう。
茶摘み体験では、新緑輝く茶畑で自然の恵みを直接感じることができ、茶道体験では「一期一会」の精神に触れることができます。そして何より、淹れたての静岡茶が持つ上品な香りと深い味わいは、「本物」の感動を与えてくれるはずです。
2025年春は「世界お茶まつり2025」が開催される特別な年。この機会に、静岡県の茶文化を存分に体験し、日本の心ともいえる「茶の湯」の世界に触れてみてください。
「一杯の茶に込められた想い」 - 茶農家から茶商、そして茶道の世界まで、すべての人が心を込めて作り上げた静岡茶を、ぜひその産地で体験してください。きっと、日本文化の奥深さと素晴らしさを実感する、忘れられない旅の思い出となることでしょう。
※ 情報について
- 記載情報は2025年9月時点のものです
- 営業時間・料金・体験内容は変更の可能性があります
- 訪問前に必ず各施設の公式サイトや電話で最新情報をご確認ください
- 茶摘み体験は天候により中止となる場合があります
- 世界お茶まつり2025の詳細は公式サイト(https://www.ocha-festival.jp/)でご確認ください