
秋田県北部・大館鹿角地域が発祥の「きりたんぽ」は、400年以上の歴史を持つ秋田の代表的郷土料理です。新米を使った手作りのたんぽと、比内地鶏の出汁で作る鍋は、秋田の厳しい冬を乗り越える知恵から生まれた滋味深い料理。発祥の地で本物のきりたんぽ作りを体験し、地元の名店で絶品の味を堪能する、心温まる秋田の旅に出かけませんか?
きりたんぽとは?知っておきたい基礎知識
きりたんぽは、つぶしたご飯を木の棒(たんぽ木)に巻きつけて焼いた秋田の郷土料理です。「たんぽ」は槍の先に付ける綿を丸めた「たんぽ槍」に似ていることが名前の由来。比内地鶏の出汁に、せり、まいたけ、ごぼう、ねぎなどの具材と一緒に煮込む「きりたんぽ鍋」が最も有名です。
きりたんぽの特徴
- 原料:秋田県産あきたこまち(新米使用)
- 製法:手作業でつぶし、たんぽ木に巻いて炭火焼き
- 出汁:比内地鶏ガラスープが基本
- 具材:せり、まいたけ、ごぼう、ねぎ、比内地鶏
- 食べ方:鍋料理、味噌つけ焼きなど
【体験】きりたんぽ手作り体験スポット
1. 大館市きりたんぽ体験センター
本場中の本場での体験施設
- 住所:秋田県大館市釈迦内字稲荷下156-1
- 営業時間:9:00-16:00(12月〜3月は15:00まで)
- 定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
- 体験料:大人1,500円、小中学生1,000円(試食込み)
- 電話:0186-48-7722
- 所要時間:約90分
体験内容:
- たんぽ作り(30分):ご飯つぶし〜巻きつけ〜焼き
- きりたんぽ鍋作り(45分):出汁作り〜具材準備〜煮込み
- 試食タイム(15分):完成したきりたんぽ鍋を堪能
おすすめポイント:地元のお母さんたちが丁寧に指導。秋田弁での楽しい説明も魅力的。
2. 道の駅「ひない」きりたんぽ館
比内地鶏の里での体験
- 住所:秋田県大館市比内町扇田字新大堤下93-11
- 営業時間:9:00-18:00(体験は要予約)
- 体験料:1,800円(きりたんぽ鍋付き)
- 電話:0186-55-3131
- 特徴:
- 比内地鶏の飼育見学も可能
- 新鮮な地鶏肉を使った本格的な味
- 併設レストランで食べ比べも
3. 農家民宿「田舎館」(鹿角市)
農家の暮らしを体験しながら
- 住所:秋田県鹿角市八幡平字大里311
- 営業時間:体験は10:00-、14:00-(要予約)
- 体験料:2,200円(昼食付き)
- 電話:0186-31-2663
- 特徴:
- 自家栽培のあきたこまち使用
- 囲炉裏を囲んでの食事体験
- 季節野菜の収穫体験も可能(夏〜秋)
4. きりたんぽ発祥館(大館市)
歴史と文化を学びながら体験
- 住所:秋田県大館市花岡町字根井下156
- 営業時間:10:00-15:00(土日祝のみ開館)
- 体験料:1,200円(見学+体験)
- 電話:0186-46-3269
- 見どころ:きりたんぽの歴史展示、昔の道具展示
【グルメ】本場きりたんぽを味わう名店
1. 料理旅館「濱乃家」(大館市)
創業100年超の老舗
- 住所:秋田県大館市幸町2-12
- 営業時間:17:00-22:00(要予約)
- 電話:0186-42-2602
- おすすめメニュー:
- 特製きりたんぽ鍋コース(4,500円)
- 比内地鶏づくし会席(6,800円)
- きりたんぽ定食(2,800円)
特徴:創業明治時代から続く伝統の味。比内地鶏の出汁の取り方にこだわりあり。
2. 郷土料理店「秋田きりたんぽ屋」(秋田市)
県庁所在地の名店
- 住所:秋田県秋田市中通2-6-44
- 営業時間:17:00-23:00(日祝は22:00まで)
- 電話:018-834-1188
- 名物メニュー:
- 本場きりたんぽ鍋(一人前1,800円)
- 比内地鶏の親子丼(1,400円)
- だまこ鍋(1,600円)
特徴:大館から直送の材料使用、県庁所在地で本格的な味が楽しめる貴重な店。
3. 民芸茶屋「ろばた」(大館市)
囲炉裏端での風情ある食事
- 住所:秋田県大館市御成町3-2-3
- 営業時間:11:30-14:00、17:00-21:00(月曜定休)
- 電話:0186-42-2179
- おすすめ:
- 囲炉裏きりたんぽ鍋(2,500円)
- 比内地鶏の炭火焼き(1,800円)
- 山菜料理各種(800円〜)
4. 食堂「比内や」(比内町)
地元民御用達の隠れた名店
- 住所:秋田県大館市比内町扇田字下扇田37-1
- 営業時間:11:00-14:00、17:00-20:00(火曜定休)
- 電話:0186-55-0415
- 人気メニュー:
- 特大きりたんぽ鍋(2,200円)
- 比内地鶏ラーメン(950円)
- たんぽ味噌焼き(600円)
特徴:地元の人に愛され続ける家庭的な味。価格もリーズナブルで観光客にも優しい。
【ショッピング】きりたんぽ・秋田名産お土産スポット
1. 秋田駅ビル「トピコ」
アクセス抜群の総合お土産店
- 住所:秋田県秋田市中通7-1-2(秋田駅直結)
- 営業時間:10:00-20:00
- おすすめ商品:
- 冷凍きりたんぽセット(2,800円):自宅で本格的な味
- 比内地鶏スープの素(800円)
- あきたこまち(2kg・1,500円)
- いぶりがっこ(600円)
2. 大館能代空港「あきた美彩館」
- 住所:秋田県北秋田市脇神字前田野目86
- 営業時間:7:00-19:30
- 特産品:
- きりたんぽ手作りセット(1,200円)
- 比内地鶏燻製(1,800円)
- 秋田の地酒セット(3,500円)
3. 道の駅「かみこあに」
- 住所:秋田県北秋田市上小阿仁村小沢田字向川原118
- 営業時間:9:00-18:00
- 名物:
- 手作りきりたんぽ(1本200円):できたて熱々
- まいたけ各種(500円〜)
- 山菜加工品(400円〜)
【宿泊】きりたんぽの里周辺おすすめ宿
1. 大館温泉 ホテル鹿角
温泉できりたんぽを満喫
- 住所:秋田県大館市十二所字平内新田237
- 電話:0186-52-3939
- 料金:12,000円〜/泊(2食付き)
- 特典:きりたんぽ鍋会席プラン有り
- 特徴:源泉掛け流し温泉、地元食材中心の郷土料理
2. 花輪温泉郷「湯瀬ホテル」
- 住所:秋田県鹿角市八幡平字湯瀬湯端43
- 電話:0186-33-2311
- 料金:15,000円〜/泊
- 名物:渓流を眺めながらのきりたんぽ会席
3. 民宿「田舎の宿 橋場」
農家体験民宿
- 住所:秋田県大館市比内町独鈷字上独鈷106
- 電話:0186-57-2575
- 料金:7,500円〜/泊(2食付き)
- 特徴:
- きりたんぽ作り体験込み
- 自家栽培野菜中心の食事
- アットホームな雰囲気
【周辺観光】きりたんぽと合わせて楽しむスポット
1. 秋田犬の里(大館市)
忠犬ハチ公のふるさと
- 住所:秋田県大館市御成町1-13-1
- 開館時間:9:00-17:00(月曜定休)
- 入館料:大人200円
- 見どころ:秋田犬展示館、ハチ公関連資料
2. 大湯環状列石(鹿角市)
世界遺産の縄文遺跡
- 住所:秋田県鹿角市十和田大湯万座45
- 見学時間:9:00-18:00(11-3月は17:00まで)
- 入場料:大人320円
- 特徴:4,000年前の縄文時代遺跡、2021年世界遺産登録
3. 康楽館(小坂町)
現役最古の芝居小屋
- 住所:秋田県鹿角郡小坂町小坂鉱山字松ノ下2
- 営業時間:9:00-17:00
- 見学料:大人540円
4. 十和田湖・奥入瀬渓流
紅葉の名所
- アクセス:大館市から車で1時間
- ベストシーズン:10月中旬〜下旬(紅葉ピーク)
- 楽しみ方:散策、遊覧船、温泉
【旅行プラン】きりたんぽ体験旅 2泊3日モデルコース
1日目:大館到着・きりたんぽ文化探訪
13:00 秋田空港到着、レンタカーで大館へ(1時間)
14:30 秋田犬の里見学
16:00 きりたんぽ発祥館で歴史学習
17:30 ホテルチェックイン
19:00 料理旅館「濱乃家」できりたんぽ鍋ディナー
2日目:手作り体験・比内地鶏の里探訪
9:00 大館市きりたんぽ体験センターで手作り体験
11:30 道の駅「ひない」で比内地鶏見学・昼食
14:00 大湯環状列石見学
16:00 鹿角温泉郷で温泉入浴
18:30 民芸茶屋「ろばた」で囲炉裏きりたんぽ
3日目:十和田湖・お土産購入
8:30 ホテル出発
10:00 十和田湖・奥入瀬渓流散策
12:30 十和田湖畔でランチ
14:30 秋田市内へ移動(2時間)
16:30 秋田駅「トピコ」でお土産購入
18:00 秋田空港から帰路
【きりたんぽ豆知識】より深く楽しむために
きりたんぽの歴史
- 江戸時代:木こりや猟師の携行食として誕生
- 明治時代:鍋料理として発展
- 昭和時代:秋田の代表的郷土料理として確立
- 現代:全国に知られる秋田のソウルフード
正しい作り方のポイント
- 米選び:あきたこまち新米が最適
- つぶし加減:8割程度、粒感を残す
- 焼き方:炭火で表面をこんがりと
- 出汁:比内地鶏ガラで最低2時間煮込み
地域による違い
- 大館地方:鶏肉多め、濃厚な味付け
- 鹿角地方:野菜中心、あっさり味
- 県南地方:だまこ鍋(丸い形)が主流
きりたんぽと栄養
- 炭水化物:エネルギー源として優秀
- たんぱく質:比内地鶏から良質なタンパク質
- ビタミン類:せり、ねぎから豊富なビタミンC
- 食物繊維:ごぼう、まいたけから摂取
【旅行Tips】きりたんぽ体験旅を成功させるコツ
ベストシーズン
- 秋〜冬(10-3月):きりたんぽの季節、新米も美味しい
- 特に11-1月:寒さでより鍋が美味しく感じられる
- 春(4-5月):山菜も楽しめる時期
- 夏は一部店舗休業:伝統的に寒い季節の料理のため
体験予約のコツ
- 平日がおすすめ:じっくり教えてもらえる
- 午前中の体験:昼食として食べられる
- グループ割引:5名以上で料金割引あり
- 事前連絡必須:材料準備の都合上
服装・持ち物
- エプロン:多くの施設で貸し出し有り
- 手拭きタオル:手作り体験で手が汚れる
- カメラ:体験過程の撮影はほぼOK
- 筆記用具:レシピメモ用
食事時の注意点
- 熱々注意:きりたんぽ鍋は非常に熱い
- 食べ方:たんぽは箸で適度に割って食べる
- 量の調整:一人前でもかなりボリュームあり
- アレルギー確認:鶏肉、きのこ、小麦のアレルギー注意
お土産購入のコツ
- 冷凍きりたんぽ:クール宅急便利用推奨
- 賞味期限確認:手作り品は日持ちしない
- 作り方説明書:付属の説明書は保存必須
- 比内地鶏商品:燻製、缶詰など日持ちする物も豊富
交通アクセス
- 飛行機:秋田空港から大館まで車で1時間
- 新幹線:盛岡駅から花輪線で大館まで2時間
- 車:東北道から日本海東北道経由が便利
- バス:秋田市から大館まで高速バス2時間
まとめ:きりたんぽで感じる秋田の心
きりたんぽ体験は、秋田の厳しい自然環境の中で育まれた生活の知恵と、人々の温かい心を感じることのできる特別な文化体験です。手作りの温かさ、比内地鶏の深い旨味、新鮮な山菜の香りは、秋田の豊かな自然の恵みそのものです。
地元の人々との交流を通じて、秋田の方言や文化、そして何よりも人々の優しさに触れることで、きりたんぽの味わいはより一層深いものになるでしょう。寒い季節だからこそ、心も体も温まるきりたんぽの味は、きっと忘れられない秋田の思い出となるはずです。
「んめぇ〜」 - 秋田弁で「美味しい」という意味。きりたんぽを食べた時、きっとあなたもこの言葉を口にしていることでしょう。秋田の温かい心とともに、本場の味をぜひ体験してください。